デスクワークの肩こり・首こり対策|企業ができる職場改善とは

「デスクワークしている、従業員から肩こり、または首こりの声が多い」
「椅子やデスクを見直すべきか、運動やストレッチを取り入れるべきか分からない」

企業がデスクワークによる肩・首の不調へ対応するとき、姿勢の指導やストレッチだけで対策を終えるのは適切ではありません。

重要なのは、誰に、どの程度の不調、そして仕事への支障があるのかを把握し、作業環境、作業時間、業務量、身体活動などを分けて確認することです。

厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」でも、情報機器作業について、作業環境管理、作業管理、健康管理、そして労働衛生教育などを組み合わせた対策が示されています。

この記事では、デスクワークによる肩こり・首こりについて、企業が何を確認し、どのような順番で職場改善を進めればよいのかを解説します。

デスクワーク中に肩や首がつらい従業員が多いと「姿勢が悪いことが原因ではないか」と考えがちです。
しかし、対策を姿勢だけに絞るのは適切ではありません。

厚生労働省の情報機器作業ガイドラインでは、情報機器作業による心身の負担を軽減するため、作業時間、作業姿勢、ディスプレイや入力機器、椅子・机などについて留意事項が示されています。

職場では、例えば次のような条件を確認する必要があります。

  • 長時間パソコン作業が続いている
  • 作業を中断しにくい
  • 業務量が多く、休止時間を取りにくい
  • デスク、または椅子を身体に合わせて調整できない
  • ノートパソコンを長時間使用している
  • 身体を動かす機会が少ない

つまり、「肩こりが多い」という事実だけでは原因までは分かりません。

まず身体的不調の実態を把握し、その結果に応じて、作業環境、作業時間・業務量、身体活動や健康支援などの観点から必要な項目を追加確認することが重要です。
原因を決めつけず、確認できた課題に応じて必要な対策を絞っていきます。

職場改善を始める前に、まず自社で肩・首の不調がどの程度問題になっているのかを確認します。
従業員アンケートなどで、次のような項目を確認しましょう。

  • 肩や首に不調があるか
  • 不調の程度はどのくらいか
  • 仕事にどの程度支障があるか
  • どのような作業・場面でつらいか

重要なのは、「肩こりがある人の割合」だけで終わらせないことです。
仕事への支障が大きい人ほど、企業として対応する優先度も高くなります。

必要に応じて部署・職種・勤務形態などに分け、不調が多い層、そして仕事への支障が大きい場面も確認します。

そのうえで、原因候補を絞るために、

  • パソコン作業の時間
  • 長時間の連続作業の有無
  • 休止や姿勢変更のしやすさ
  • デスク・椅子・ディスプレイなどの作業環境

といった項目を追加で確認します。

ただし、特定の部署や長時間パソコンを使用する人に不調が多くても、それだけで原因とは断定できません。

不調の実態を把握し、分布や困る場面を見たうえで、必要な項目を追加確認するという順番で進めます。

従業員の健康課題をどのようなデータから把握するかについては以下の記事でも詳しく解説しています。


・「従業員の健康課題を企業はどう把握する?健康状態を可視化する方法」

肩・首の不調が多い場合、次に実際の作業環境を確認します。

身体の大きさや作業内容は人によって異なるため、全員へ一つの「正しい姿勢」を求めるより、それぞれが作業しやすい状態へ調整できる環境を整えることが重要です。

厚生労働省の情報機器作業ガイドラインでは、椅子について、安定していて容易に移動できること、座面の高さを調整できること、適当な背もたれを備えていることなどが示されています。

企業では、次のような点を確認します。

椅子・デスク

  • 座面の高さを調整できるか
  • 足を安定して置けるか
  • 背もたれを利用できるか
  • デスクとの高さが合っているか
  • 十分な作業スペースがあるか

ディスプレイ

  • 画面を見やすい位置・向きに調整できるか
  • 画面との距離を確保できるか
  • 文字が小さすぎないか
  • 照明などが映り込んで見づらくなっていないか

キーボード・マウス

  • 無理に腕を伸ばさず操作できるか
  • 肩をすくめた状態になっていないか
  • 操作するためのスペースが確保されているか

特にノートパソコンは、画面とキーボードが一体になっているため調整に制約があります。長時間使用する場合は、業務内容や作業環境に応じて外付けディスプレイ、キーボード、マウスなどを検討する方法もあります。

設備を用意するだけでなく、従業員が自分に合わせて調整でき、実際に使えているかまで確認することが大切です。

作業環境を整えても、長時間ほとんど身体を動かさずに作業を続けている場合は、仕事の進め方も確認する必要があります。

厚生労働省の情報機器作業ガイドラインでは、一連続作業時間が1時間を超えないようにし、次の連続作業までに10~15分の作業休止時間を設け、一連続作業時間内にも1~2回程度の小休止を設けるよう示されています。

ここでいう作業休止時間は、いわゆる休憩時間とは異なります。
情報機器作業をいったん中止し、遠くを見たり、身体を動かしたり、他の業務を行ったりする時間です。

企業では、こうした時間を設定するだけでなく、実際に情報機器作業を中断できる運用になっているかを確認することが重要です。例えば、

  • 会議と資料作成が連続している
  • 常にチャットや電話へ対応する必要がある
  • 業務量が多く、作業を止めにくい
  • 休止すると仕事が終わらない

といった状態では、従業員本人の意識だけでは改善しにくい場合があります。

ガイドラインでも、作業者の能力を超えた業務量では作業を休止したくてもできなくなることから、無理のない適度な業務量となるよう配慮する必要性が示されています。

そのため、設備だけでなく、連続作業時間と業務量も確認することが重要です。

肩・首の不調への対策として、身体を動かす機会を設けたり、運動を取り入れたりする方法もあります。

2024年に公表された、慢性的な首の痛みがあるオフィスワーカーを対象とした複数の研究をまとめた報告では、首・肩・肩甲帯周囲の筋力トレーニングによって、首の痛みや機能障害が軽減する可能性が示されています。

ただし、研究には限界があり、この結果をすべてのデスクワーカーにそのまま当てはめることはできません。
そのため「運動をすれば肩こりが解消する」と考えるのではなく、運動は対策の選択肢の一つとして考えることが適切です。

また、運動やストレッチは、作業環境や働き方の問題に代わる対策ではありません。
作業環境に問題があれば作業環境を、長時間の連続作業や過大な業務量があれば仕事の進め方を見直します。

職場側で改善すべき問題を確認したうえで、必要に応じて運動などの取り組みを組み合わせることが重要です。

肩こり・首こり対策では、施策を増やすより、確認された問題に合わせて優先順位を決めることが大切です。

確認された状況追加で確認すること優先して検討する対策
デスクワーク部署で不調が多い机・椅子・画面・入力機器作業環境の調整
長時間の連続作業が多い作業時間・休止状況作業の区切り・業務ローテーション
休止したくてもできない業務量・人員・締切・運用業務設計や業務量の見直し
身体を動かす機会が少ない作業時間・身体活動の状況作業の区切りや身体活動の機会
肩・首の不調による仕事への支障が多い不調の程度・対象者・作業条件作業環境の改善+健康支援
一部の従業員で強い症状や症状の持続がみられる症状の状況必要に応じて医療機関への相談

このように整理すると「肩こり対策として何を導入するか」ではなく、どの課題に対して何を変える必要があるのかという順番で考えられます。

一部の従業員で強い症状や症状の持続がみられる場合は、職場でのセルフケアだけで対応せず、必要に応じて医療機関への相談を検討します。

身体的不調への支援が必要な場合にRelabができること

作業環境や仕事の進め方を確認したうえで、

  • 肩や首などの身体的不調を訴える従業員が多い
  • 身体的不調が仕事上の困りごとになっている
  • 職場で利用できる身体ケアを検討したい
  • 従業員の身体の悩みや利用状況も把握したい
  • セルフケアや健康について学ぶ機会をつくりたい

といった課題が確認された場合には、企業向けの健康支援を組み合わせることも選択肢です。

Relabでは、企業へ訪問して従業員へのコンディショニングを行っています。
また、継続利用する企業向けには、利用状況や身体の状態などを分析するコンディション分析レポートを提供しており、企業の課題や目的に合わせた健康セミナーも実施しています。

ただし、作業環境、長時間の連続作業、過大な業務量などの問題を、コンディショニングだけで解決することはできません。

職場側で改善すべき条件を確認したうえで、身体的な健康支援が必要な場合に検討することが大切です。

職場改善は、椅子を交換した、ストレッチを導入した、健康支援を始めたという「実施した事実」だけでは評価できません。対策前に確認した項目を、実施後にもできるだけ同じ方法で確認します。例えば、

  • 肩・首の不調を訴える従業員の割合
  • 不調の程度
  • 不調による仕事への支障
  • 長時間の連続作業の状況
  • 作業休止を取りやすいか
  • 作業環境に関する困りごと
  • 健康施策を実施した場合の参加率・利用率

などです。例えば、作業環境を変更しても不調が変わらなければ、連続作業時間や業務量、個々の作業条件などを追加で確認します。

反対に不調が減っても、繁忙期の終了や業務内容の変更など、別の条件が影響している可能性があります。
施策だけの効果と即断しないことも重要です。

現状把握 → 原因候補の確認 → 対策 → 同じ指標で再確認 → 必要なら追加確認

という流れで改善を続けます。身体的不調が仕事のパフォーマンスにどの程度影響しているかを確認したい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。


・「プレゼンティーズムとは?企業が知っておきたい『見えない生産性低下』」

デスクワークの肩こり・首こり対策では、ストレッチや設備をすぐに導入するのではなく、まず自社でどのような問題が起きているのかを確認することが重要です。

最初に、

「誰に肩・首の不調があるのか」
「どの程度、仕事へ支障が出ているのか」
「どんな作業をしているときに困っているのか」

を確認します。

そこから作業環境、連続作業時間、業務量、身体活動などを追加で確認すれば、自社で優先すべき対策を判断しやすくなります。

肩こり・首こりを従業員個人の問題だけにせず、職場側で変えられる条件と、必要な健康支援を切り分けて考えることから始めましょう。

Relabについて

Relabは、企業へ訪問して働く人の健康づくりを支援する企業向け健康支援サービスです。

企業内で受けられるコンディショニングに加え、継続利用する企業向けのコンディション分析レポートや、企業の課題・目的に合わせた健康セミナーを提供しています。

肩・首・腰などの身体的不調が自社の健康課題として確認され、職場環境や働き方の見直しとあわせて身体面からの健康支援を検討したい場合には、選択肢の一つとしてサービス内容をご確認いただけます。

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参考文献

  1. 厚生労働省「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインについて」
    厚生労働省で確認する
  2. Jones LB, Jadhakhan F, Falla D. The influence of exercise on pain, disability and quality of life in office workers with chronic neck pain: A systematic review and meta-analysis. Applied Ergonomics. 2024;117:104216.
    PubMedで確認する

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